【米麹甘酒の栄養成分と効能】甘酒を飲むことで期待できる健康効果を解説

甘酒の健康効果

米麹甘酒は日本に古くからある発酵食品の一つです。

身体に吸収されやすいブドウ糖やアミノ酸、すべてのビタミンB群(ビタミンB12を除く)、食物繊維、オリゴ糖など、栄養成分を豊富に含み、その栄養価の高さから「飲む点滴」「飲む美容液」とも呼ばれています。

江戸時代には夏バテ防止ドリンクとして庶民の間にも親しまれ、古くから日本人の健康に役立てられてきました。

この記事では米麹甘酒の栄養成分と健康効果について書いています。

米麹甘酒を飲むことでどのような健康効果が期待できるのか?」 と疑問に思われる方は是非お読みください。

米麹甘酒と酒粕甘酒の違い

甘酒には米麹甘酒と酒粕甘酒の2種類があります。

米麹甘酒 について

おかゆに米麹と水を加えて発酵(糖化)させたものを米麹甘酒といいます。(米麹と水だけで作ることもできます。)

米麹甘酒には砂糖は加えません。米麹に含まれるアミラーゼという酵素が、お米のデンプンをブドウ糖に分解することで自然な甘みが作られるからです。

米麹甘酒はノンアルコールのため、妊婦さん、子どもでも安心して飲むことができます。車の運転もOK。

米麹甘酒の作り方はコチラをご参照ください。

米麹
米麹甘酒の原料である米麹

酒粕甘酒 について

酒粕をお湯で溶き、砂糖で味付けしたものを酒粕甘酒と言います。

酒粕を使うので、アルコールを含んでいます。車を運転する人は注意が必要です。

酒粕独特のクセのある匂いが特徴です。酒粕の匂いは好き嫌いが分かれるところだと思います。

酒粕は日本酒を作る工程で生まれます。冬になるとスーパーなどに多くの酒粕が並び、その味を楽しむことができます。

酒粕
酒粕甘酒の原料である酒粕

※このように米麹甘酒と酒粕甘酒では原材料や作り方が違います。今回の記事では米麹甘酒について書いています。

米麹甘酒と酒粕甘酒の見分け方

スーパーやドラックストア、コンビニなど甘酒を買うときは、商品の裏側に記載されている原材料表示を確認しましょう。

パッケージに米麹甘酒と書かれているものでも「砂糖」「蜂蜜」などで味付けされているものもあります。本来の米麹甘酒の味を求める場合は、原材料表示で「米麹」、または「米麹、米」と記載されているものを選ぶと良いでしょう。

米麹甘酒が「飲む点滴」と呼ばれる理由

米麹甘酒は病院の栄養補給に使われる点滴と成分が似ていることから「飲む点滴」とも呼ばれています。

米麹甘酒の栄養成分

  • ブドウ糖
  • アミノ酸
  • すべてのビタミンB群(ビタミンB12を除く)
  • 食物繊維
  • オリゴ糖など
点滴
米麹甘酒は「飲む点滴」とも呼ばれている

【健康効果①】脳の活性化、疲労回復

米麹甘酒に含まれるブドウ糖ビタミンB群で「脳の活性化」「疲労回復」が期待できます。

脳のエネルギー源になるブドウ糖

米麹甘酒は脳のエネルギー源になるブドウ糖を豊富に含んでいます。

ブドウ糖は糖質の中でも最小単位まで分解された単糖類のため、体内での消化吸収がよく、代謝されると脳のエネルギー源になります。

また米麹甘酒はブドウ糖の代謝に必要なビタミンB群も含んでいるため、スムーズに脳のエネルギーに変換されます。

米麹甘酒がブドウ糖を豊富に含む理由

米麹甘酒はおかゆに米麹を加えて、55~60℃で発酵(糖化)させることで出来上がります。発酵中に米麹の酵素アミラーゼがおかゆのデンプンと米麹自身のデンプンに作用し、デンプンを最小単位のブドウ糖へ分解してくれます。

米麹甘酒にはブドウ糖が全体の20%以上も含まれていると言われています。

米麹甘酒の自然な甘さはブドウ糖の甘さによるものです。

朝食の代わりに米麹甘酒がおすすめ

「朝は忙しくて朝食を取る時間がない」という方には米麹甘酒がオススメ。米麹甘酒は手軽にサッと栄養補給ができます。

米麹甘酒で朝から脳をしっかりと働かせることができます。

「勉強や仕事で脳を働かせたい」という時にもオススメです。

米麹甘酒で脳にブドウ糖を補給

疲労回復に効果があるビタミンB群

米麹甘酒にはビタミンB12を除く全てのビタミンB群が含まれています。

ビタミンB群は三大栄養素(糖質・タンパク質・脂質)の代謝 に欠かせないビタミンです。

ビタミンB群は体内に取り入れた栄養素を代謝してエネルギーを作り出してくれることから、疲労回復に効果があるとされています。

またビタミンB群は健康な皮膚や髪を保つために必要なビタミンでもあり、美容効果も期待できます。

米麹甘酒に含まれるビタミンB群

ビタミンB1、B2、B6、ナイアシン、パントテン酸、葉酸、ビオチン

ビタミンB群
疲労回復を助けてくれるビタミンB群

疲れたときの疲労回復には米麹甘酒がオススメ

米麹甘酒は米麹の酵素により「デンプン→ブドウ糖」「タンパク質→アミノ酸」のように栄養素が小さく分解されているため、消化吸収が良いです。

消化に負担をかけず、体内に栄養を補給することができます。

「疲れていて食欲が出ない」、「夏バテ気味で胃腸に負担をかけたくない」という時にもオススメです。

※米麹甘酒のブドウ糖とビタミンB群について詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。

【健康効果②】 腸内環境改善、美容効果

米麹甘酒には腸内環境改善、美容に役立つ栄養成分も含まれています。

善玉菌を増やして腸内環境を改善

米麹甘酒には腸内環境改善に役立つ「食物繊維」や「オリゴ糖」、「グルコシルセラミド」が含まれています。

これらは腸内細菌である善玉菌のエサになり、善玉菌を増やすことで腸内環境を整えてくれます。

腸内環境が改善されることで、便秘解消や免疫力アップ、肌荒れの改善などが期待できます。

腸内環境
腸内環境改善で免疫力アップ

※米麹甘酒の整腸作用について詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。

タンパク質を構成するアミノ酸

タンパク質は三大栄養素の一つで「身体を作る」働きがあります。筋肉や臓器、皮膚や髪、酵素やホルモンなどの材料になります。

米麹甘酒にはタンパク質を構成するアミノ酸20種類が含まれています。

そのうち体内で合成することができない9種類のアミノ酸を「必須アミノ酸」といい、食事から取ることでしか補給することができない重要な栄養素とされています。

米麹甘酒には必須アミノ酸9種類がすべて含まれており、健康な皮膚や髪、身体づくりをサポートしてくれます。

米麹甘酒に含まれる美容成分

米麹甘酒は美容への効果も期待できることから「飲む美容液」 とも呼ばれています。

主なものに「グルコシルセラミド」、「コウジ酸」があります。

グルコシルセラミド

グルコシルセラミドには肌の保湿効果があり、乾燥肌の改善が期待できる美肌成分です。

コウジ酸

コウジ酸にはシミやそばかすの原因となる、皮膚を黒くする色素のメラニンの合成を抑制する効果があります。

コウジ酸は美白剤として化粧品にも使われています。

美肌
米麹甘酒は「飲む美容液」とも呼ばれる

まとめと感想

今回は米麹甘酒の栄養成分と健康効果について書かせていただきました。

米麹甘酒の魅力は様々な栄養成分をマルチに含んでいるところだと思います。

脳のエネルギー源を生み出すにはブドウ糖だけでなくビタミンB群も必要になります。米麹甘酒はその両方を含んでいるため効率よくエネルギー生み出すことができます。またビタミンB群は糖質だけでなく、タンパク質、脂質の代謝にも必要になる重要なビタミンです。

栄養成分を単体でなくマルチに取り入れられるからこそ「飲む点滴」とも呼ばれ、高い健康効果が期待できるのだと思います。

米麹甘酒は日本に古くからある発酵食品であり、原料も米麹とお米のため安心して飲むことができます。

目的とする健康効果がすぐに出なくても「どこか身体に良い効果が起きている」と思いながら、付き合っていくのがいいと思います。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

参考文献

1)「発酵検定公式テキスト」一般社団法人日本発酵文化協会(監修)
2)「日本醸造学会誌 第112巻9号(掲載ページ:p.655-662)(発行年月:2017年9月)」阪本真由子、酒谷真以、Jannatul Ferdouse、浜島浩史、柘植圭介、西向めぐみ、柳田晃良、永尾晃治、光武進、北垣浩志「麹で造られる醸造食品のグリコシルセラミド定量手法の検討とそれを用いた定量」
3)「日本醸造学会誌 第112巻10号(掲載ページ:p.668-674)(発行年月:2017年10月)」倉橋敦、黒岩芳史「麹甘酒に含まれる成分について」
4)「あまさけのひみつ(学研まんがでよくわかるシリーズ)」望月恭子(構成)
5)「女子栄養大学の誰も教えてくれない発酵食のすべて」五明紀春(監修)
6)「最新版 知っておきたい栄養学」白鳥早奈英(監修)
7)「決定版 栄養学の基本がまるごとわかる事典」足立香代子(監修)

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