「飲む点滴」と呼ばれ、栄養素を豊富に含む甘酒。米麹があれば炊飯器で簡単に作ることが出来ます。美容や健康のため手作り甘酒を生活の中に取り入れている方は多いのではないでしょうか。
飲むだけでなく、料理やお菓子づくりにも使える甘酒は、冷蔵庫にあると便利な発酵食品です。
私は甘酒をよく使うため、甘酒を作るときは多めに作り、冷蔵庫にストックを作るようにしています。
早めに使うものは冷蔵庫で保存、使うのが後になるものは冷凍庫で保存しています。またゆっくりと使うときは甘酒に火入れをして(賞味期限を伸ばして)冷蔵庫で保存しています。
甘酒は糖分が多く、腐敗しやすい発酵食品ですが、甘酒の賞味期限、保存方法を理解することで甘酒の美味しさを長く保つことができ、甘酒を生活の中に取り入れやすくなります。
今回は「手作りの甘酒はどのくらい日持ちするの?」「保存方法のポイントは?」「火入れをすると賞味期限はどのくらい延びるの?」など、甘酒の賞味期限や保存方法について詳しく解説していきたいと思います。
生甘酒(手作り甘酒)の賞味期限と保存方法
生甘酒とは火入れをしていない甘酒のことを言います。
- 手作り甘酒(火入れをしていないもの)
- 冷凍状態で販売されていて「生甘酒」と表記されているもの
生甘酒(手作り甘酒)の賞味期限
生甘酒は冷蔵庫で保存して約1週間を目安に飲みきるのがよいと思います。
1週間を過ぎたら腐敗してしまう、極端に美味しさが損なわれるというわけではありません。2週間を過ぎたもの、3週間くらいのものでも保存状態が良ければ飲むことができます。
味が変化しすぎない、美味しいうちに飲みきるという意味での目安が約1週間になります。
生甘酒は酵素が活動している、乳酸菌が生きている
生甘酒は酵素が活動しているため、冷蔵庫で保存をしていても常に味は変化していきます。甘酒作成後、冷蔵庫で2、3日たったものの方が甘みを増しているのは、酵素が活動しているからです。
また生甘酒には乳酸菌が生きています。日を追うごとに甘酒に酸味が出てくるのは甘酒の糖分をエサに乳酸菌が繁殖しているからです。
毎日変化していく味を楽しめるのは生甘酒の魅力でもあります。
腐敗した甘酒を見分ける方法
甘酒はなるべく2、3日に一度は蓋を開けて飲むようにしましょう(手作り甘酒、スーパーで購入したものに限らず)。
そうすることで味の変化に気づきやすくなり、腐敗が進んでいるのか、そうでないかがわかるようになります。
「長期間甘酒を放置してしまい見た目、臭いが怪しい。」「カビが生えてしまった。」という甘酒は捨てた方がいいですが、「少し酸っぱいかな」、「味が落ちたかな」くらいであれば飲んでも問題ないと思います。
心配な方はなるべく早く飲みきるようにするのがよいと思います。
甘酒を作った時点で味に問題がなく、冷蔵庫できちんと保存しているものであれば急激に腐敗が進むことはないので、2、3日に一度は甘酒を飲みながら味を確認していくのがよいと思います。
(完全に腐敗してしまったものは口に入れた瞬間、「これはよしておこう」と身体が反応してくれます。)
甘酒の保存方法
甘酒は雑菌の栄養となる糖分を多く含んでいるため、腐敗しやすい飲み物(発酵食品)です。
甘酒の取り扱い、保存方法を理解することで賞味期限を長く保つことができます。
1. 清潔な容器で保存する
甘酒を入れる容器は清潔なものを使用しましょう。
熱湯消毒ができるとなおいいです。
熱湯消毒の仕方は、容器を洗った後、熱湯を容器の縁に沿ってまわしかけるだけです。
2. 清潔な道具(スプーン)を使用する
容器から甘酒を取り出すときは清潔な道具を使うようにしましょう。
何かに使用したスプーンは使用しないようにしましょう。スプーンに雑菌が付着していた場合、甘酒の中に入り込み繁殖する可能性があるからです。
3. 蓋を開けっぱなしにしない
甘酒は飲む分取り出したらすぐに蓋を閉めて、冷蔵庫に入れるようにしましょう。
4. 容器の縁に付いた甘酒を拭き取る
容器の周りに付いた甘酒はこまめに拭き取るようにしましょう。容器の周りに付いた甘酒(水分の中に浸っていない甘酒)は空気中の雑菌のエサになり、腐敗が進みやすくなります。
よく見られるピンクカビについて
甘酒を飲まないで、冷蔵庫に入れたままにしていると容器の周りや甘酒の表面にピンクのカビが生えてくることがあります。空気と触れている部分は雑菌が繁殖しやすいので注意が必要です。
ピンクカビが生えた場合は残念ですが捨てるようにしましょう。
生甘酒をすぐに飲まない場合は、冷凍庫で保存するのがオススメ
酵素が活きた生甘酒の状態で長期間保存したい場合は、ジップロックなどに入れて冷凍庫で保存するのがオススメです。
1週間以内に飲みきれる分は冷蔵庫で保存、それ以上になる場合は冷凍庫に保存するのがよいと思います。
火入れ甘酒について
火入れとは、甘酒を作った後に加熱することで酵素を失活(活動を停止させる)させ、微生物を死滅させることを言います。
スーパーやドラックストアなどで常温、冷蔵で置かれている甘酒は火入れがされているものになります。
火入れをする理由
1. 賞味期限が延びる
火入れをすることで味の変化を防ぐことができ、賞味期限を延ばすことができます。
火入れをすることで約1ヶ月賞味期限が持つようになります。
2. 甘くなる
火入れをすることで甘みが強くなります。
火入れの仕方
鍋に甘酒を移して、ふつふつとなるくらいで加熱します(小さな気泡が出てくるくらいでOK)。
温度は70℃以上で10分くらいを目安に加熱します。
生甘酒と火入れ甘酒の使い分け
生甘酒、火入れ甘酒ともに栄養素についてはほとんど違いはありません。それぞれの違いを理解して、使い分けるのがよいと思います。
生甘酒(酵素が活動している)
- 体内酵素を補いたい方
- 漬け床(肉や魚、野菜を生甘酒に漬ける)として利用したい方
麹菌の酵素により食材が柔らかくなり、旨みが上がります。消化吸収率も上がります。
火入れ甘酒
- 長期保存したい方
- 砂糖の代わり、調味料として使いたい方
- 甘酒の甘みを強くしたい方
甘酒の使う目的に合わせて生甘酒か火入れ甘酒かを使い分けることで、甘酒を生活の中に取り入れやすくなります(甘酒と付き合う上で、賞味期限と保存方法は欠かせない知識です)。
甘酒は飲むだけでなく、料理にも使える応用範囲が広い発酵食品です。今回の知識を利用して甘酒生活をより豊かにしていってください。最後まで読んでいただきありがとうございました。
参考文献
「発酵検定 公式テキスト」一般社団法人 日本発酵文化協会(監修)
「別冊 NHK きょうの料理 使える! 広がる! 塩麹&麹レシピ」
「発酵食品を腐らせないためのコツ 【保存編】 – 小倉ヒラクの発酵道場 番外編 その2-」https://www.youtube.com/watch?v=cJjW6S9uUbI&t=17s