甘酒饅頭の生地作りに関する実験。生甘酒と火入れ甘酒で生地の膨らみ方に違いは出るのか。

砂糖を使わずに甘酒の糖分を使い生地を膨らませる甘酒饅頭の作り方を研究しています。

甘酒饅頭は甘酒を作り、漉して、甘酒の液体部分と小麦粉、ドライイースト、塩を混ぜて発酵させて生地を膨らませる方法で作っています。

以前生甘酒を使って甘酒饅頭を作ったとき、少し生地の緩さを感じました。

「これはもしかして生甘酒の酵素が小麦粉のデンプンやタンパク質を分解しているため生地に緩さが出ているのではないか?」と思い、実験をして調べてみることにしました。

実験の内容

甘酒を作った後、生甘酒、火入れ甘酒でそれぞれ甘酒饅頭の生地を作り、生地の膨らみ方や様子にどのような違いが出てくるのか調べてみました。

甘酒作り(火入れ甘酒を作るまで)

材料

  • もち米:150g
  • 米麹(乾燥麹):200g
  • 水:3と1カップ

①お米の浸水

もち米を洗米後、水3カップの水に1時間浸ける。

お米の浸水
お米を浸水させる

②おかゆを炊く

芯がないようにおかゆを炊いたら、水1カップを加えて温度を下げる。

おかゆが炊ける
おかゆを炊く

③米麹を混ぜて、60℃で8時間発酵(糖化)させる

温度が70℃以下に下がったら米麹を加えてよくかき混ぜる。

おかゆに米麹を混ぜる
おかゆに米麹を混ぜる

よくかき混ぜて水分が出てきたら60℃で8時間発酵させる。

発酵に入る前の甘酒
発酵に入る前の甘酒

8時間発酵させた甘酒の様子。

もち米を使っていることもあり、しっかり甘くなりました。

8時間発酵させた甘酒
8時間発酵させた甘酒

④甘酒を漉す

ザルを使って甘酒を漉して、液体部分と固体部分に分ける。

漉す理由

甘酒をミキサーにかけたものを使うこともできますが、生地の膨らみが弱くなります。少し手間はかかりますが、甘酒饅頭を作る際は漉す方がオススメです。

甘酒の液体部分と固体部分を分ける
甘酒を液体部分と固体部分に分ける

甘酒の液体部分は750ml程度取ることができました。

甘酒の液体部分と固体部分を分けたもの
甘酒の液体部分と固体部分を分けたも

⑤火入れ甘酒を作る

5分間以上ふつふつと沸騰させる。火入れをすることで酵素を失活させる。

甘酒の火入れ
甘酒の火入れ

甘酒饅頭の生地作り

材料

  • 強力小麦粉:200g
  • ドライイースト:3g
  • 塩:3g
  • 生甘酒、火入れ甘酒:140g

①材料を混ぜる

小麦粉、ドライイースト、塩を混ぜる。その後に甘酒を加えて手でこねる。

甘酒酵母液、酒種を使わない理由

予め甘酒にドライイーストを加えて甘酒酵母液、酒種にしたもので生地を膨らませる方法もあります。今回は酒の香りを抑えるため、またなるべく簡単な方法で甘酒饅頭を作るため、甘酒とドライイーストはこねる前に一緒にしました。

小麦粉、ドライイースト、塩を混ぜる
小麦粉、ドライイースト、塩を混ぜる

今回はボール内で5分間くらいこねました。

生甘酒の方が柔らかくもちもちとしていました。

火入れ甘酒の方は生甘酒の方と比べると固さを感じました。

一次発酵前の甘酒饅頭の生地
一次発酵前の甘酒饅頭の生地

②一次発酵させる

ヨーグルトメーカーのヨーグルティアを使い、36℃で1時間発酵させる。

甘酒饅頭の生地の一次発酵

1時間後の様子。

生甘酒の方がよく膨れていました。

火入れ甘酒の方の膨らみ方が弱かったので、36℃でもう一時間発酵させてみました。

※材料の甘酒は通常ぬるま湯程度に温めたものを使うのですが、今回は冷蔵庫から取り出したばかりの冷たい状態の甘酒を使ったため、生地全体が温まるまでに時間がかかってしまい、生地が膨らむのに時間がかかってしまったのではないかと思いました。

甘酒饅頭の生地の一次発酵
一次発酵の1時間後

二時間後の様子。

生甘酒、火入れ甘酒ともよく膨らみました。

甘酒饅頭の生地の一次発酵
一次発酵の2時間後

フィンガーテストをしてみたところ、生甘酒の方は指にくっついてしまう状態でした。

火入れ甘酒の方は指を入れても戻ってこなく、いい感じの状態でした。

甘酒饅頭の生地の一次発酵後のフィンガーテスト
火入れ甘酒の方のフィンガーテスト

③5等分にカットして二次発酵させる

生甘酒の方は手粉をつけないと手にくっついてしまう状態だっため、手粉をつけながら生地をまとめました。

触感としては柔らかくフニャフニャという感じでした。

一次発酵後の甘酒饅頭の生地を5等分にする
一次発酵後の甘酒饅頭の生地を5等分にする

火入れ甘酒の方はしっとりとした触感はありましたが、手粉をつけなくてもくっつきませんでした。

生甘酒の方と比べると弾力を感じました。

一次発酵後の甘酒饅頭の生地を5等分にする
一次発酵後の甘酒饅頭の生地を5等分にする

室温27℃の場所で約1時間、二次発酵させました。

生甘酒の方はよく膨らみましたが、蒸籠に移そうと手に取ると生地が手に付いてしまい形が崩れてしまいました(下に敷いていたクッキングシートにもくっつく)。

甘酒饅頭の生地の二次発酵
甘酒饅頭の生地の二次発酵

火入れ甘酒の方は手に取っても生地は手にはくっつきませんでした。

甘酒饅頭の生地の二次発酵
甘酒饅頭の生地の二次発酵

④蒸す

強火で12分、蒸らしで3分。

左側の列が生甘酒の方、右側の列が火入れ甘酒の方。

甘酒饅頭を蒸す
甘酒饅頭を蒸す

蒸し上がりの様子。

甘酒饅頭蒸し上がり

食べ比べてみる

香り、味ともに違いは見られませんでした。

左側の列が生甘酒の方、右側の列が火入れ甘酒の方。

甘酒饅頭蒸し上がり

両方とも中までよく膨らみました。

甘酒饅頭蒸し上がり

蒸さなかったものについては室温26℃にてその後も二次発酵を続けていました。

二次発酵開始より約6時間経過。

生甘酒の方の生地はベトベトして手にくっついてしまう状態でした。

下に敷いていたクッキングシートにもしっかりと張り付いていました。

生甘酒で作る甘酒饅頭
生甘酒で作る甘酒饅頭

火入れ甘酒の方は手に持ってみてもベタベタとしている触感はありませんでした。

火入れ甘酒で作る甘酒饅頭
火入れ甘酒で作る甘酒饅頭

まとめ

甘酒饅頭を上記のような手順で作る場合は、生甘酒でも作ることはできますが、作業性(扱いやすさ)の観点から見ると火入れ甘酒の方が作りやすいのではないかと思いました。

しかし、生甘酒でも一次発酵、二次発酵を短く、膨れてきた段階(適切なタイミング)で切り上げることで特に問題なく作れること、生地の柔らかさは生甘酒の方が出るので好みに応じて判断するのがいいと思いました。

一次発酵、二次発酵を適切なタイミングで切り上げないと生地に緩さが出すぎてしまう(手にくっついてしまう、ベトベトしまうなど)原因はおそらく生甘酒は酵素が活性しているため、小麦粉のデンプンやタンパク質を分解しすぎてしまうからだと考えられます。

逆に発酵の見極めを適切に行うことで生甘酒ならではの良さも見えてくるのではないかと感じました(生甘酒の酵素活性をうまく利用する)。

今回は生甘酒、火入れ甘酒によって生地の膨らみ方にどのような影響が出てくるのかを調べるために生地の中にあんこは入れませんでしたが、生地の中にあんこを入れれば通常のお饅頭を作ることができます。少し手間はかかりますが、手作り感満載のお饅頭を作ることができます。ぜひお試しください。

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