発酵あんことは小豆のデンプンと米麹自身のデンプンを米麹の酵素により分解することで甘みを作り出す、砂糖不使用のあんこです。
砂糖を使用しないため通常のあんこのような甘さはありませんが、ほんのりとした自然な甘さと飽きのこない味が特徴です。
発酵あんこは健康と美容にも嬉しい効果があります。
- 小豆だけでなく、米麹の栄養素も取り入れることができる
- 米麹の酵素の働きで小豆の消化吸収率が上がる
- 砂糖を使わない分、糖質オフができる(ヘルシーになる)など
今回は炊飯器を使った発酵あんこの作り方をご紹介します。
手間と時間はかかりますが、いつもと違ったあんこに出会えると思います。
発酵あんこの材料
- 小豆:200g
- 米麹(乾燥タイプ):200g
- 炊飯器で使う水:2カップ
小豆を鍋で煮る
小豆を水洗いしたら、鍋に小豆と水を加えて沸騰させる。
今回は水3カップを加えました。
※小豆は浸水させる必要はありません。
沸騰してきたら蓋をして火が鍋底にちょうどあたるくらいの弱火する。
ここから約20分間煮詰める。
20分が経過した小豆の様子。
20分間煮詰めたら「茹でこぼし」を行う。
茹でこぼしとは食材の持つアクや渋みを取り除くため、沸騰させた煮汁を捨てて新しい水に入れ替えることを言います(「渋切り」とも言います)。
小豆を炊飯器で炊く
茹でこぼしをした小豆と水2カップを炊飯器にセットして、「おかゆモード」で炊飯する。
炊きあがりの様子。
冷まして米麹を加えてよくかき混ぜる
炊けたら内釜を炊飯器から取り出して、温度を下げるようにかき混ぜる。
このときにあえて小豆の形を崩して、デンプンが出るようにかき混ぜました。
発酵あんこの発酵の仕組みは小豆のデンプンを米麹の酵素により糖(ブドウ糖)に分解することで甘さを作り出します。小豆のデンプンが水分中に溶け出すことで米麹の酵素と混ざりやすくなり(小豆のデンプンと米麹の酵素の接触割合が増えることで)、甘くなりやすくなるのではないかと考えました。
かき混ぜることで必然的に小豆のデンプンは水分中に溶け出すので特別に意識しなくてもいい部分ではありますが、甘さを出したい場合はよくかき混ぜること、小豆をあえて潰すようにかき混ぜてみるのも良いのではないかと思います。
米麹を加えて発酵させる
小豆の温度が70℃以下に下がったら米麹を加えてよくかき混ぜる。
今回作る発酵あんこは水分量をなるべく少なくした固めのあんこです。そのため炊けた後に水分は加えていません。
水分量が少ないとかき混ぜるのがかたくなるので、おたまやへらではなく、木べらを使うのがオススメです。
ここでしっかりと混ぜることがその後の発酵(糖化)に影響を与えてくるので、しっかりとかき混ぜることが大切です。
水分が少ないことでパサパサ感を感じることがありますが、発酵が進むにつれてしっとりとした混ぜ具合になっていきます。
固めのあんこを目指さない、液体状でサラサラと食べたいという方は水1/2~1カップの水を加えてください(食べ方に合わせてお好みで水分量を調整してください)。
※炊飯器によりおかゆモードで炊けたときの水分量は違ってきます。そのため固めの発酵あんこを作る場合でも水を絶対に加えないというのではなく、明らかに水分量が足りないと判断した場合は200mlずつ水を加えてかき混ぜて発酵前の状態にもっていくようにしてください。
発酵に入る前は小豆と米麹をしっかりと固めて、表面を平らにする。
保温モードにして、50~60℃で約12時間発酵させる。
フキンをかぶせて、菜箸をかませて蓋を閉めるようにすると50~60℃が保ちやすくなります。
発酵時間の目安は10~12時間がオススメです。8時間で出しても全く問題はありませんが、発酵時間を長くすることでより甘く仕上がります。
ヨーグルティアなどのヨーグルトメーカーがある方は、保温設定60℃で12時間発酵させてください。
発酵開始から2時間が経過した発酵あんこの様子。
温度が50~60℃になっているか温度計で確認をして、よくかき混ぜる。
発酵の途中で、できれば2~3回かき混ぜてください。
小豆と米麹がよく混ざり合い、温度のムラがなくなることで、発酵が進みやすくなります。
よくかき混ぜる。
発酵開始から5時間が経過した様子。
よくかき混ぜました。
発酵開始から12時間が経過した様子。
固めの発酵あんこが出来上がりました。
発酵あんこの賞味期限と味付け
発酵あんこの賞味期限は冷蔵庫で約1週間です。
3、4日でも味は変化していくので、できれば早めに食べるのがオススメです。
すぐに食べることができない場合は、冷凍庫で保存するのがオススメです。
発酵あんこはそのまま食べてもいいですが、塩を少し加えると甘味が引き立ちます。また醤油を加えるのもオススメです。甘味と旨味がより引き立ちます。
塩、醤油ともに加えるときはほんのちょっとずつがオススメです。
発酵あんこはほんのりとした自然な甘さが良さでもあるので、少し引き立てばいいくらいの気持ちで調整してみてください。
発酵あんこは作るのに手間と時間はかかりますが、麹を使った自家製あんこが作れるようになると日常にちょっとした楽しみが出てくると思います。
お時間があるときにぜひ試してみてください。
参考文献
「発酵あんこのおやつ」藤井寛(監修)木村幸子(著者)2020年2月28日 第1版第1刷発行