だんだんと寒さが出てきて、朝晩は冷え込むようになりましたね。
身体を冷やさないようにしながら、体調管理をしていきましょう。
今回の記事は甘酒まんじゅうの作り方を3日間にかけてわかりやすく解説します。
<甘酒まんじゅうの作り方>
1日目:米麹甘酒を作り、固体と液体に分ける
2日目:発酵あんこを作り、固さを調節する
3日目:甘酒まんじゅうを作る
以前甘酒まんじゅうの作り方の記事を書きましたが、今回のものはそれをグレードアップさせたものです。
<今回の甘酒まんじゅうのコンセプト>
①なるべく手作りで
②材料をシンプルに
③砂糖を使わない(発酵技術を使う)
手間と時間がかかる作り方ではありますが、作っていただけると手作りの楽しさ、麹や発酵技術の面白さを感じられると思います。
なるべくわかりやすく解説をしていきたいと思いますが、難しい部分もあると思います。その時は、お問い合わせよりご質問ください。
米麹、甘酒、発酵技術がみなさまにとってより身近な存在になるように書いていきたいと思います。
1日目:米麹甘酒の作り方
【作業日:10月25日(火)】
甘酒まんじゅうづくりの1日目は米麹甘酒を作ります。
米麹甘酒とは米麹とおかゆを混ぜて発酵させたものです。
米麹甘酒を作る意味
甘酒まんじゅうづくりはドライイーストを使って生地を膨らませます。
イースト(酵母菌)が働くには糖分が必要になりますが、砂糖は使用しません。
砂糖の代わりに米麹甘酒の糖分(ブドウ糖)を利用します。
1日目のダイジェスト
材料
- うるち米:150g
- 乾燥米麹:200g
- 水:3(炊飯用)と1カップ(足し水用)
※今回はうるち米を使いましたが、もち米を使っても大丈夫です。
もち米を使った方が甘味が強い米麹甘酒になるため、生地にも甘味がより感じられるようになります。
作り方
今回は炊飯器とヨーグルティア(ヨーグルトメーカー)を使いました。
ヨーグルティアは1℃単位で温度設定ができ、発酵終了後は音が鳴って知らせてくれます。発酵ライフには欠かせないアイテムです。
米麹甘酒はヨーグルトメーカーを持っていなくても炊飯器で作ることができます。
※以下の文章では「米麹甘酒」のことを「甘酒」と書いていきます。
①お米の浸水後、おかゆを炊く
【作業開始時刻:8:05】
お米は洗米後、水3カップを加えて1時間浸水させます。
おかゆモードで炊飯してください。
②水1カップを加えて、おかゆ冷ます
おかゆが炊けたら水1カップを加えてお米の固まりをほぐします。
耐熱ボールに移しました。
③温度が下がったら米麹を加えてよくかき混ぜる
おかゆの温度が65℃以下になるよう冷ましていきます。
今回は63.5℃で米麹を加えました。
米麹を加えたらよくかき混ぜます。
かき混ぜていくとおかゆがゆるくなっていき、水分が出てきます。
甘酒を作るときのポイントはこの時点でしっかりと「混ぜる」ことです。水分が出てくるようになるまでしっかりと混ぜてください。
④ヨーグルティアで発酵させる
発酵に入る前の温度は52.5℃でした。
おかゆと米麹が液体部分から出ないようにしてヨーグルティアの容器にセットします。
60℃8時間設定にしました。
【発酵開始時間:10:47】
⑤途中かき混ぜる
甘酒の糖化を促進させるには、途中かき混ぜることが大切です。
かき混ぜるときに温度もチェックします。
温度が50℃より下がっていないか、65℃を越えていないかチェックしましょう。
今回は発酵開始20分後、3時間後、?時間後、計3回かき混ぜる作業を行いました。
20分後の温度は52.5℃でした。
3時間後の温度は60.9℃でした。
かき混ぜるときは上下を入れ替えるように混ぜます。
今回は作る量が少ないですが、量を作るほど場所によって温度が変わり、温度ムラができます。温度ムラを防ぐためにもしっかりとかき混ぜることが大切です。
⑥火入れを行う
8時間発酵させた甘酒。
しっかりと甘くなりました。
<発酵終了後の甘酒の分量と重さ>
分量:1000mlを越えるくらい
重さ:1,146g
発酵が終了した甘酒は鍋に移して火入れを行います。
火入れをすることで甘酒の酵素を失活させます。
酵素を失活させることで生地がゆるくなりすぎることを防ぎます。
生甘酒(火入れをしていない甘酒)を使うことで、生地のつながりがゆるくなり、生地の伸びや膨らみがよくなりますが、発酵のタイミングを見逃すと生地がゆるくなりすぎてしまいます。
扱いやすさも含めて慣れるまでは火入れをするのがいいと思います。
火入れをすることで「甘味が強くなる」「賞味期限が延びる」というメリットもあります。
甘酒を火にかけて温度が80℃以上になったら、弱火、または火を消して3分以上火入れを行います。
⑦固体部分と液体部分に分ける
火入れをした甘酒の熱さが落ち着いてきたら甘酒を固体部分と液体部分に分ける作業を行います。
粉ふるい、スプーンやマッシャーを使い、甘酒の液体部分のみを下に落としていきます。
<分量と重さ>
甘酒の液体部分:600ml
固体部分:308g
【作業終了時刻:19:30】
2日目:発酵あんこの作り方
【作業日:10月26日(水)】
2日目は甘酒まんじゅうの中に入れる発酵あんこを作ります。
発酵あんことは煮た小豆に米麹を加えて発酵させたものです。
発酵あんこには砂糖を入れないため通常のあんこと比べると甘味が少ないです。
また出来上がりの発酵あんこはゆるさがあり、酵素も働いているため、発酵終了後は火入れを行います。
発酵あんこをフライパンに移して水分を飛ばしながら饅頭用のあんこの固さになるよう煮詰めていきます。そうすることで発酵あんこの甘味を強め、酵素も失活させていきます。
発酵あんこには塩を入れていません。
以前は塩を入れて甘味を引き立てていましたが、火入れをして甘味を強めることで甘酒まんじゅうにして食べたときにちょうどいい甘さになります。
2日目のダイジェスト
材料
- 小豆:200g
- 乾燥米麹:200g
作り方
発酵あんこの作り方は以前の記事でも書いています。
①小豆を煮る
【作業開始時刻:10:15】
小豆は洗米後、水3カップを加えて強火にかけます。
今回は雪平鍋で行いました。
グツグツと沸騰してきたら弱火にして20分間煮ていきます。
20分間煮たら、煮汁を捨てて「茹でこぼし」を行います。
新たに水3カップを加えて強火にして沸騰してきたら弱火にして煮ていきます。
茹でこぼし後、40分間煮ました。
アクが出てきたので、気づいた段階で取るようにしました。
小豆200gだとアクはそこまで出てきませんが、以前小豆1KGを煮た時はアクが結構出てきました。今回のような量であればそこまで気にしてアクを取る必要はないと思います。
煮え具合は芯が完全に残っていない状態まで煮るのがポイントです。ここで芯が残っていると発酵させても固さが残ってしまいます。
小豆は煮すぎても問題はありません。ただ煮詰めたまま放置してしまうと小豆の皮が破けて溶けだしたデンプンが沈殿して焦げる可能性があります。注意してください。
②温度が下がったら米麹を加えて発酵させる
煮た小豆をボールに移して温度が下がるのを待ちます。
目安としては65℃以下になったら米麹を加えます。
今回は57.8℃で米麹を加えました。
甘酒を作るときと同様、しっかりとかき混ぜてください。
小豆は潰れても問題ないので、しっかりと小豆と米麹を混ぜます。
発酵に入る前の温度は46.0℃でした。
ヨーグルトティアは54℃10時間で設定しました。
54℃に設定した理由
以前60℃で設定したところ、温度が上がりすぎてしまったことがあったので今回は54℃設定にしてみました。
発酵の温度帯は50~65℃であれば発酵(糖化)は行われます。
10時間設定にした理由
発酵時間の目安は8~12時間です。
今回は発酵の開始が昼の12時頃だったため、12時間設定にしてしまうと24時を過ぎてしまうため、生活とのバランスを考えて10時間設定にしました。時間があるときはいつも12時間設定にしています。
発酵開始1時間20分後、かき混ぜて温度チェックを行いました。
温度は54.5℃でした。50~65℃の間なのでOKです。
かき混ぜる時は上下を入れ替えるようにしてください。
外側と中側をよく混ぜて温度ムラを取るようにします。
③発酵終了後は火入れを行う
発酵あんこの出来上がり。
<発酵終了後の重さ>
911g
発酵が終わった発酵あんこはフライパンに移して火入れを行います。
火入れは甘酒まんじゅう用のあんこに仕上げるための工程です。
発酵あんこ自体を楽しみたい場合は、火入れは特にする必要はありません。
弱火で水分を飛ばすようにしながら煮詰めていきます。
水分が飛んでいくと固さが出てくるのであんことして丸めやすくなります。焦さないように注意しましょう。
今回は約16分火入れを行いました。
バットに広げて粗熱を取ります。
粗熱が取れたらタッパーに移しました。
<火入れ後の重さ>
626g
【作業終了時刻:23:12】
3日目:甘酒まんじゅうの作り方
【作業日:10月27日(木)】
3日目は1日目と2日目に作った甘酒と発酵あんこを使って、甘酒まんじゅうを作っていきます。
甘酒まんじゅうづくりのレシピはパンづくりを参考にしています。
パンづくりをされている方は二次発酵までパンづくりの工程をイメージしながら作っていただくといいと思います。
今回は甘酒まんじゅうのため最後の工程で蒸し上げていますが、焼けば甘酒パンになります。
今回のレシピの分量では8個作ることができます。 通常の饅頭より少し大きめで、パンのようにふっくら、もっちりとした仕上がりになります。
3日目のダイジェスト
材料(8個分)
- 強力粉:300g
- ドライイースト:3g
- 塩:3g
- 甘酒(液体):210g
- 水:10g
作り方
①生地を混ぜてこねる
【作業開始時刻:14:22】
今回は生地をまとめる作業をフードプロセッサーで行いました。フードプロセッサーを使うと生地が手にくっつかないので便利です。
まずは強力粉、ドライイースト、塩をフードプロセッサーに入れて軽く撹拌させます。
甘酒と水はよく混ぜて、電子レンジにかけて人肌程度にあたためておきます。
甘酒が冷たいまま使うと生地が硬くなり、まとめにくくなります。
また一次発酵に入る前の温度が低くなり、一次発酵に時間がかかってしまいます。
生地がまとまったらフードプロセッサーから取り出して手でこねていきます。
こねる理由は「材料をよく混ぜ合わせる」ためです。
こねていくと生地がまとまっていく感覚がわかると思います。
3分程度こねれば十分です。
②一次発酵させる
一次発酵はヨーグルティアを使いました。
室温でも発酵させることはできますが、寒い時期は発酵に時間がかかるのでヨーグルティアがあると便利です。
今回は36℃1時間で設定し、様子を見た後にプラス30分追加で発酵させました。
一次発酵をしっかりと行うことで生地が伸びやすくなり、次の工程の成型がしやすくなります。
③成型してベンチタイムをとる
一次発酵が終了したら手で押してガスを抜いて8等分にスケッパーを使い切り分けます。
丸くまとめたらタッパーに移して乾燥させないようにしっかりとふたを閉めます。
電気毛布を使い、ベンチタイムをとり生地に膨らませます。
約30分間ベンチタイムをとりました。
ベンチタイムをしている間に発酵あんこを30gずつ手に取り丸めておきます。
④発酵あんこを包んで二次発酵させる
まずは生地を手で潰してガズを抜きます。
中央部分は厚く、外側を伸ばしていきます。
中央部分に発酵あんこをおきスプーンで押すようにしながら外側の生地を伸ばしていきます。
生地のとじ目はしっかりと閉じることが大切です。
閉じることが出来ていないと中の発酵あんこが出てきてしまいます。
生地を包んだものはタッパーに入れて二次発酵に入ります。
二次発酵は室温で行いました。
時間を短縮したい場合はベンチタイムの時のように電気毛布を使うとよいでしょう。
今回は室温で2時間40分二次発酵させました。
この時間はちょうどよい時間を見計らって出したのではありません。二次発酵中に買い物に行き、帰ってきた時間です。生活とうまく折り合いをつけながら作ると長続きします。
今までの経験からすると室温が20℃前後の場合は、3時間を過ぎると過発酵ぎみになります。
過発酵になると生地が緩くなり、蒸したときのふっくら感が落ちます。
ふっくらとさせたい場合は3時間以内に蒸し上げるのがいいと思います。
今回はアルコールのにおいが少しあり、生地をさわるとやわらかさがありました。少し発酵が進みすぎている感じがありました。
⑤蒸し上げる
まずはお湯を沸騰させます。
沸騰したら火を止めて蒸籠をセットします。
少し蒸籠を温めてから甘酒まんじゅうを入れて、強火で12分、火を止めて蒸らし3分を行います。
生地にへこみがあります。これはおそらく発酵が進みすぎたことが原因だと思います。
今回は蒸籠を使いましたが、金属の蒸し器でも蒸すことはできます。
ただ金属の蒸し器の場合、外側に水滴がついてしまうのと、水滴が上から落ちてきてしまう問題点があります。
甘酒まんじゅうは中央付近におき、ふたはふきんで包むようにして水滴から守るようにしてください。
⑥すぐに蒸さない場合は、冷蔵庫で発酵させる
二次発酵を冷蔵庫で行うことで発酵の進み具合を緩やかにすることができます。
二次発酵を冷蔵庫で16時間行いました。
冷蔵庫から出してすぐに蒸してみました。
バッチリいい感じに蒸し上げることができました。
生活に合わせて室温で二次発酵させるのか、冷蔵庫で発酵させるのか選ぶといいと思います。
甘酒まんじゅうの賞味期限
当日中に食べる場合は粗熱が取れたらラップにくるんでおいておけば大丈夫です。
当日中に食べきれなかったものはそのまま冷凍庫に入れて、食べるときに電子レンジで温めるのがおススメです。
3日間お疲れさまでした。
今回は3日間続けて甘酒まんじゅうを作る工程を解説しましたが、甘酒、発酵あんこは冷凍すれば長期保存が可能です。時間がある時に作っておいて3日目の甘酒まんじゅうの工程から作り始めることもできます。
ふっくらとした甘酒まんじゅうは人の心を癒します。
時間がたつと生地が硬くなっていってしまいますが、それゆえに温かい時に食べる甘酒まんじゅうは格別です。
甘酒まんじゅうが気になる方はぜひチャレンジしてみてください。
うまくできたらぜひご連絡ください(^^)
それでは皆様の発酵ライフが豊かになることをお祈りしています。