甘酒を作るときは
- おかゆを炊く
- 米麹を加える
- 発酵させる
の手順で作りますが、「2.米麹を加える」タイミングはいつがベストなのでしょうか。
本やインターネットで調べてみると以下の記載が多くありました(60~65℃以内)。
- おかゆの温度が65℃以下に下がったら
- おかゆの温度が63℃以下に下がったら
- おかゆの温度が60℃以下に下がったら
65℃以下で米麹を加えるのは以下の理由が考えられます。
- 米麹の酵素が失活(活動を停止)しない温度で米麹を加えること
- おかゆに米麹を加えて混ぜると温度が下がるため酵素の失活が起きない温度でなるべく高い温度のうちに米麹を加えること
私は米麹を加えるタイミングはいつも63℃付近で行っていました。
しかし、63℃付近までおかゆの温度が下がるのを待つのは意外と時間がかかります(待っていないといけない)。
そんなとき「ウェブ上の情報よりも高い温度帯で米麹を投入しても大丈夫」「酵素の失活はすぐには起きない」という話を聞きました。
70℃以上の温度で米麹を加えても、甘い甘酒が作ることができれば「甘酒づくりの作業時間の短縮」、「甘酒づくりがより楽に」になると思い、今回の実験を行ってみることにしました。
今回の実験の目的と内容
目的
「おかゆの温度が70℃以上で米麹を加えても酵素は働くのか(甘い甘酒はできるのか)を調べる」
内容
米麹を加える温度を変えてそれ以外は同じ条件で甘酒を作る。
一つが63℃以下になるまでおかゆが冷めるのを待ってから米麹を加える。
もう一つがおかゆが70℃以上の時に米麹を加える。
出来上がりの味を比べて、甘さを確認する。
実験日:2022年3月23日
材料
- 米麹(乾燥タイプ):150g
- もち米:150g
- 水(炊飯用):3カップ
- 水(おかゆが炊けたら加える用):1カップ
1.約1時間もち米を浸水させる
左が「タイガー魔法瓶(白)」:63℃以下に下がったら米麹を加える方
右が「象印マホービン(ブラウン)」:70℃以上で米麹を加える方
2.おかゆモードで炊飯する
3.(水1カップを加える)それぞれの温度で米麹を加える
「タイガー魔法瓶(白)」
61.8℃で米麹を投入後、よくかき混ぜてヨーグルティア(ヨーグルトメーカー)の容器に移す。
「象印マホービン(ブラウン)」
76.4℃で米麹を投入後、よくかき混ぜてヨーグルティア(ヨーグルトメーカー)の容器に移す。
かき混ぜていくうちに71.6℃、66.3℃、62.1℃まで温度は下がっていった。
4.ヨーグルティアで60℃で8時間発酵させる
左(緑色のヨーグルティア)が「タイガー魔法瓶(白)」:63℃以下に下がったら米麹を加えた方
右(ピンク色のヨーグルティア)が「象印マホービン(ブラウン)」:70℃以上で米麹を加えた方
5.味を比べる(実験の結果)
できたてと、冷蔵庫で保管後の二回で味を比べてみたが、お米の食感と柔らかさ、甘さともに同じであった(違いは感じられなかった)。
まとめと感想
本やインターネットでは、米麹を加えるタイミングは65℃以下で記載されていることが多かったですが、実験を通じて70℃以上で米麹を加えても酵素の失活は起こらないことがわかりました(正確には酵素は70℃以上で米麹を加えてもその一瞬で失活するわけではないということがわかりました)。
おかゆの温度が70℃以上でも米麹を加えてかき混ぜればすぐに温度は70℃より下がるため、長い時間にわたって70℃以上の温度が続くわけではありません(今回の実験分量において)。
この実験以降、私は甘酒を作るときの米麹を加える温度は70℃付近を一つの目安にしています(75℃付近などでも問題ないと思いますが、気ままに甘酒を作っているとそのくらいの温度に自然になるため)。
高めのおかゆの温度で米麹を加えられることで、以下のメリットも生まれました。
- おかゆが冷めるまで待つことがなくなる(作業時間の短縮)
- 温度が下がりすぎることもなく(米麹を加えた後)、ちょうどよい温度でその後の発酵に移ることができる
ぜひ甘酒づくりに活かしてみてください。
参考文献
「私は糀の甘酒に80度のお湯を使う。甘酒の仕込みで失敗する本当の理由。」池島幸太郎(ハッピー太郎醸造所)
https://note.com/happytarokotaro/n/na117744bd38e