【2021年11月麹づくり研究レポートNo.3】麹箱を作り、包み込み後の保温と保湿を強化してみたら発芽がうまくいった

11月に入り少しずつ寒さが増してきました。

冬の麹づくりは気温が低くなり、昼夜の気温差も出てくるため温度管理が難しくなります。

今回は「包み込み後」の保温と保湿を強化するためにも、温度管理がしやすいよう麹箱を作り、麹づくりを行いました。

今回の麹づくりのテーマ

包み込み後」の保温と保湿を両立させて胞子の発芽をサポートする。

今回のテーマにした理由

以前に書いたブログ「麹づくり研究レポートNo.1」「麹づくり研究レポートNo.2」を通じて大きく2点のことがわかったからです。

  • 発芽がうまくいかないとその後の繁殖もうまくいかない
  • 発芽には包み込み後の保温と保湿を両立させることが大切

材料

  • お米(2020年度産 山形県産つや姫):1kg
  • 種麹(菱六「改良長白菌」):8g(お米に対して0.8%)

11月22日(月)麹づくり前日

浸漬(お米を水につける)

お米を洗米後、常温で浸漬させました。

浸漬開始:14:30頃

お米を水に浸す

11月23日(火)麹づくり1日目

カシを見る

写真は浸漬させたお米の様子です。

指でこすりあわせると粉々になりました。浸漬具合はOKです。

かしを見る
カシを見る

水切り

金網のザルに移して水切りを行いました。

水切り開始:9:30頃(室温:14℃)

浸漬合計:約19時間

お米の水分を金網ざるで切る

蒸し

強火で約60分間蒸しました。

蒸しの開始:10:40頃

水切り合計:約1時間15分

蒸し時間:約60分

お米を蒸す

蒸し上がり!!

蒸し上がったお米

ひねりもち

蒸し上がったお米を手のひらにのせてひねり潰すようにして「ひねりもち」を作りました。

よくまとまりました。食べてみて芯もなかったのでOKです。

ひねりもち
ひねりもち

種切り(お米に麹菌の胞子を付ける)

今回も種麹は菱六「改良長白菌」を使用しました。

お米の温度が43℃以下に下がったら種麹を振りかけて、全体に満遍なく麹菌の胞子が付くように種切りを行いました。

包み込み(お米をひとまとまりにする)

保温と保湿をするため、お米同士を密集させてしっかりとまとめるようにしました。

包み込み開始:12:00頃 品温:32.3℃

包み込み

今回の麹づくりのテーマは包み込み後の保温と保湿をしっかりとすることです。

冬の寒さも出てきたので、温度理がしやすいよう麹箱を作りました。

包み込み後、品温が30℃を下回らないように心がけました。

包み込み後は麹箱の中で発酵

  • 保温ボックス・・・作る量に合わせて大きすぎない箱のサイズを選ぶことがポイント。大きすぎると麹箱内が温まるのに時間がかかるのと冷えやすくなる(ちょうどいいサイズだと小さな熱でも温まりやすく、温度も保持されやすい)。
  • プラスティックバッド(上下で2個)・・・ゆたんぽの熱が直に当たらないようにするためと保湿力アップのため。
  • ゆたんぽ(ゆたんぽカバー)・・・ミニサイズだと箱内にゆっくりと収まるため便利。
  • 温度計・・・包み込み後の麹箱内の温度は30℃以上に。麹自体が熱をもってくるようになってくると、その放熱で麹箱内の温度も保たれるようになる。麹自体の熱のもち具合、品温との関係を見ながら麹箱内の温度を調節する。
包み込み直後の麹箱の中の様子

湯たんぽカバーの中にゆたんぽを入れると、放熱しすぎず、温かさも長持ちします。

プラスティックバットは上からもかぶせて保湿力を高めました。

麹箱の中の様子

その後の品温経過

時間:13:43 品温:30.6℃

包み込み後から品温は下がってしまいましたが、麹箱内の温度は30℃以上あったため、そのままの状態で発酵を続けてみました。

時間:17:03 品温:30.1℃

時間:19:52 品温:31.7℃

11月24日(水)麹づくり2日目

時間:00:33 品温:36.4℃

だんだんと品温が上がり始めてきました。

時間:2:26  品温:39.2℃

切り返し

40℃を超えてきたので切り返しを行いました。

お米同士がくっついて固まりになっていました。

切り返し時刻:9:13 品温:40.1℃

切り返し

白くハゼ(破精)ている部分がきちんと見られました。この段階でのハゼ具合はいい感じ。

発芽がうまくいっているようでした。

手入れと盛り

時間:17:54 品温:42.2℃

40℃を超えて麹自体が熱を持ってきたので、手入れを行いました。

今後品温が急激に上がりすぎないようバットに麹を広げて「盛り」を行いました。

乾燥しすぎないよう、新しいフキンをかけました。

品温が上がりすぎない程度でバットもかぶせておきました。

その後の品温経過

時間:21:54 品温:39.0℃

11月25日(木)麹づくり3日目

時間:9:17 品温:35.5℃

出麹

出麹時間:12:37 品温:42.7℃

包み込みから約48時間30分で出麹にしました。

ひっくり返すと板状になっていました。

出麹

麹の熱を下げるためバラバラに。

出麹した米麹をばらす

一粒一粒に菌糸がよくまわっていました。

枯らし

麹をよくほぐしたら重ならないように広げて、扇風機を当てながら麹の熱を下げて水分を飛ばすようにしました。

出麹してバラしたお米を広げて枯らす

甘酒チェック

ヨーグルティアで甘酒を作り、麹のでき具合をチェックしました。

麹:200g
水:400g
設定温度:60℃
発酵時間:6時間
完成後、冷蔵庫で保存

ヨーグルティアで作った甘酒

冷蔵庫で冷やした甘酒をチェック

お米の芯がなく、麹全体が柔らかくなっていました。

甘さがよく出ていて、甘酒として十分飲める味になりました。

米麹甘酒

今回の麹づくりのまとめと感想

今回の麹づくりのテーマは「包み込み後」の保温と保湿を両立させて胞子の発芽をサポートすることでした。

麹箱を作ったことで、保温と保湿の環境づくりがしやすく発芽がうまくいきました。

発芽がうまくいったことで、麹自体が熱を持つようになり、品温が下がらずにその後の繁殖もうまくいきました。

麹づくりにおいて「発芽」は重要なポイントであることがわかりました。

また発芽させるための環境づくり(麹箱、道具の用意)をきちんと整えてから麹づくりに臨むことも重要であることがわかりました。

今回までの麹づくりのまとめ(麹づくり研究レポートNo.1~No.3)

麹菌の性質を理解する

麹菌の繁殖に必要なこと

  • 温度・・・包み込み後、30℃を下回らないようにする。
  • 湿度・・・発芽には湿度も大切。
  • 酸素・・・切り返し、手入れで温度、湿度のムラをとりながら酸素供給をする。

麹菌の繁殖しやすい環境を整える

麹づくりは3日間かかります。仕事生活の合間に無理のない範囲で見られることが大切です。

麹箱を作ることで手を掛ける時間や心配する心の負担が減り、麹づくりに対する気持ちが楽になります。

ホームセンターや百円均一などで麹箱の道具をきちんと準備してから麹づくりに取りかかることをオススメします。

寒い季節でも麹箱を作り、麹づくりを楽しんでいきましょう。

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