【2021年10月麹づくり研究レポートNo.2】包み込みから品温を33℃以下に下がらないように電気毛布を使用して温度管理をしてみた

麹づくりの面白さは「何度やってもなかなかうまくいかない」そういった難しさにあると思います。

難しいからこそ知恵と工夫を働かせて試行錯誤したり、自分なりの麹づくりのやり方を見つけていく面白さがでてくるのではないでしょうか。

さて、今回は前回「麹づくり研究レポートNo.1」と基本的なやり方は一緒で、包み込み後に電気毛布を使い品温が33℃以下にならないよう、特に包み込みから切り返しまでの間、気をつけて温度管理を行いました。

今回の麹づくり内容

前回「麹づくり研究レポートNo.1」の麹づくりでは包み込みから品温が上がるのが遅かったので出麹時間を遅らせたところ、包み込みから60時間後に出麹させたものが一番美味しい甘酒になったという結果になりました。

  • 前回の麹づくりと基本的なやり方は一緒で行った。
  • 包み込み後、電気毛布を使い品温が33℃以上になるよう温めた。
  • 包み込みから切り返しまでの間、品温が33℃以下に下がらないよう電気毛布を使用しながら温度管理を行った。
  • 出麹時間を包み込みから48時間後、52時間後に設定し、出麹後に甘酒を作り、味の変化を調べた。

材料

  • お米(2021年度産 千葉県産あきたこまち(新米)):900g
    前回と同じお米で同じ分量で行おうとしましたが1kgなかったため900gで行いました。
  • 種麹(菱六「改良長白菌」):7.2g(お米に対して0.8%)

浸漬(お米を水につける)

お米を洗米後、常温で浸漬させました。

【10月18日(月)麹づくり前日】

浸漬開始:16:30頃(室温:20℃)

カシを見る

【10月19日(火)麹づくり1日目】

「カシを見る」作業を忘れてしまいましたが、たぶん大丈夫でしょう。

水切り

水切り開始:9:30頃(室温:15℃)(浸漬は17時間行いました。)

前回より気温が下がり、室温も下がっていたので前回より2時間ほど多めに浸漬させました。

室温が低く寒かったので、暖房を入れました。

水切り

お米を蒸す

お米を蒸す前に蒸籠を温めました。

蒸気がお米を抜けるのを確認してから50分間蒸しました。

蒸しの開始時間:11:20頃(水切りは1時間50分行いました。)

お米を蒸す

ひねりもちで確認

ひねりもちでお米の蒸し具合を確認しました。

前回よりほぐれやすく、硬く感じました。食べてみて芯はありませんでした。

もう10分蒸した方がいい気がしましたが、前回と同じ条件で進めてみようと思い、このまま進めました。

ひねりもち

種切り(お米に麹菌を付ける)

今回も種麹は菱六「改良長白菌」を使用しました。

お米の温度が43℃以下に下がったら種麹を振りかけて、こすりつけるように種切りを行いました。

種切り

包み込み(お米をひとまとまりにする)

種切りしたお米を布巾で包み、紙袋の中に入れました。

包み込み開始:12:30頃(室温:22℃)
品温:30.4℃

今回の温度管理の仕方

  • 包み込みから品温が33℃以上になるように電気毛布を使用して温める
  • 品温が33℃以下に下がるようであれば電気毛布を使用して温める
  • 紙袋→タオル→電気毛布→膝掛けを使い、それらを調節することで温度管理を行う
  • 室温は暖房を付けて20℃以上をキープする

紙袋をタオルを巻きました。

タオルの上から電気毛布を巻きました。

電気毛布の上から膝掛けを巻きました(電気毛布で温めた熱が逃げないように)。

その後の品温経過を記載します。

【麹づくり1日目 21:00頃(包み込みから約8時間半後)】
品温:33.8℃(室温:22℃)

【10月20日(水)麹づくり2日目】

【麹づくり2日目 3:30頃(包み込みから約15時間後)】
品温:36.3℃(室温:21℃)

【麹づくり2日目 5:00頃(包み込みから約16時間半後)】
品温:38.7℃(室温:21℃)

【麹づくり2日目 7:00頃(包み込みから約18時間半後)】
品温:38.6℃(室温:22℃)

切り返し

【麹づくり2日目 9:00頃(包み込みから約20時間半後)】
品温:41.7℃(室温:21℃)

品温が40℃を超えたので切り返しを行いました。

布巾を開いてみると、中心部分は白くハゼが見られますが、外側部分は見られませんでした。このことから外側の部分は麹菌は発芽していないことがわかります。

切り返しをしていると固いお米がけっこうありました。

手入れ(その後の品温経過)

【麹づくり2日目 15:30頃(包み込みから約27時間後)】
品温:41.5℃(室温:20℃)

40℃を超えたので手入れを行いました。

【麹づくり2日目 22:00頃(包み込みから約33時間半後)】
品温:44.6℃(室温:17℃)

40℃を超えたので手入れを行いました。

白くハゼているお米とそうでないものが混ざっているような感じでした。

出麹

【10月21日(木)麹づくり3日目】

【麹づくり3日目 12:30頃(包み込みから約48時間後)】出麹1回目
品温:35.4℃(室温:20℃)

【麹づくり3日目 16:30頃(包み込みから約52時間後)】出麹2回目
品温:38.6℃(室温:20℃)

白くハゼていないお米が見られました。

甘酒づくり

48時間後、52時間後で出麹を行い、出麹後、すぐにヨーグルティアで甘酒を作りました。

<ヨーグルティアで甘酒づくり>
麹:200g
水:400g
設定温度:62℃
発酵時間:12時間
4時間後に一度だけかき混ぜる
完成後、冷蔵庫で保存

冷蔵庫で冷やした甘酒をチェック

【10月22日(金)】

かきまぜた様子(甘酒のゆるさをチェック)

48時間後:ドロッとしている。

52時間後:ドロッとしている。

48時間後、52時間後ともに同じようでした。

●甘さをチェック

48時間後:甘くない、おかゆのような味。

52時間後:甘くない、おかゆのような味。

48時間後、52時間後ともに同じようでした。

結果

包み込みから48時間後、52時間後に出麹した両方とも甘酒として美味しくなかった。

考察

今回の麹づくりは失敗でした。

失敗の原因として、切り返しの時に前回と比べて麹菌の発芽がうまくいかなかったことが考えられます。

このときに発芽していないお米は、その後も発芽しない割合が多く、出麹まで至ったのではないかと思います。

麹菌の発芽が上手くいかなかった原因

今回のハゼの様子を見ると中心部分は白く、外側部分は全く白くないと様子が極端でした。

今回は包み込みから品温を33℃以下に下がらないよう、包み込み後は電気毛布を使い33℃以上になるよう温めました。その後は33℃以下にならないよう電気毛布を使いながら温度管理を行いました。

電気毛布を使用して温めたことにより、外側のお米の水分が取られて乾燥してしまったことが麹菌の発芽が上手くいかなかった原因ではないかと思います。

中心部分は蒸したお米が密集しているために湿度が確保でき、麹菌が発芽したのだと思います。

次回

包み込み後、品温を33℃以上に上げることは麹菌の活動しやすい温度帯にするために必要なことだと思います。

しかし、熱源(電気毛布)を使用して品温を上げる場合は、保湿面も考慮しつつ温度管理をすることが必要です。

次回は熱源を使用しながらも保湿面をしっかりとして麹づくりに望みたいと思います。

学び

麹菌の発芽には保湿(湿度の確保)も必要ということがわかりました。

次回は保温とともに保湿もしっかりと考えていきたいと思います。

麹づくり研究レポート、次回もお楽しみに。

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