【ミキ研究】さつまいもの量によって発酵具合、味は変わるのか実験してみた

鹿児島県奄美大島で古くから飲まれている伝統的な発酵飲料「ミキ」をご存じでしょうか。

【ミキとは】

ミキとはお米と生のさつまいもを発酵させて作る乳酸菌発酵飲料です。

ヨーグルトの香りと酸味がある味が特徴です。

乳酸菌を豊富に含むことから「お米のヨーグルト」とも呼ばれています。

ミキの発酵の仕組みは、酵素分解と乳酸発酵になります。

  1. さつまいもの酵素がお米のデンプンを糖に分解する
  2. サツマイモに含まれる乳酸菌が糖を分解して乳酸を出す

またミキという名前の由来は、神様にお供えするお酒である「御神酒(おみき)」からきています。

長い歴史を持ち、現在まで受け継がれてきた伝統のある飲み物ということがわかります。

今回はそのミキに関する実験を行いました。

それは「ミキを作る際、さつまいもの量を変えることで発酵具合や味は変わるのか」という実験です。

この実験を行おうと思ったきっかけは、ミキを作る際、レシピの分量通りで行うと買ってきたさつまいもをいつも中途半端に余らせてしまい、「せっかくならまるまる一本入れてみたらどうだろうか」と思うことがあり、そこから「さつまいもを入れる量によって発酵具合や味は変わるのだろうか」という疑問が出てきたからです。

実験方法

さつまいもの量を変えて二種類のミキを作り、発酵の様子、味を比べてみる。

材料

A(さつまいもの量50g)

  • うるち米:150g
  • 水:3カップ(炊飯用)、1カップ(炊飯後加える)
  • さつまいも(皮をむいた状態):50g

B(さつまいもの量150g)(Aの三倍量のさつまいも)

  • うるち米:150g
  • 水:3カップ(炊飯用)、1カップ(炊飯後加える)
  • さつまいも(皮をむいた状態):150g

お米を浸水させる

7/18(月)

洗米したお米150gに水3カップを加えて約1時間浸水させる。

お米を浸水させる
お米を浸水させる

おかゆモードで炊く

浸水させたお米を「おかゆモード」で炊く。

さつまいもの皮をむき、水に浸しておく。

左側が(A)50g、右側が(B)150gのさつまいも。

さつまいも
さつまいもを水につける

さつまいもをすりおろす

おかゆが炊けたら水1カップを加えて温度が50度以下になるまで冷ます。

さつまいもをすりおろしてよくかき混ぜる。

さつまいもを加えたとき「(B)さつまいも150g」の方が「(A)さつまいも50g」よりも早くゆるくなった。

気持ち「(B)さつまいも150g」の方が液体状でゆるさを感じた。

容器に移して常温で発酵させる

①7/18(月)12時頃

タッパー容器に移した。

ミキの発酵中

約21時間後の様子

②7/19(火)9時頃(室温:26℃)

ミキの発酵中

両方ともお米が上に上がってきていた。

両方ともさっぱりとした味。ヨーグルトの香りがほのかにした。

「(A)さつまいも50g」と「(B)さつまいも150g」を比べると「(A)さつまいも50g」の方が味が薄く感じた。

ミキの発酵中

約27時間後(1日と約3時間)後の様子

③7/19(火)15時頃

ヨーグルトの香り、味ともに「約21時間後」より増していた。

約47時間(1日と約23時間)後の様子

④7/20(水)11時頃(室温:26℃)

両方とも少し酸味が感じられるようになってきた。

「(A)さつまいも50g」と「(B)さつまいも150g」を比べると「(A)さつまいも50g」の方が味と酸味がほんのりとしていてさっぱりと飲めて、「(B)さつまいも150g」の方が味、酸味ともに強く感じた。

約58時間(2日と約10時間)後の様子

⑤7/20(水)22時頃(室温:27℃)

両方とも「約47時間後」よりも酸味が増してきた。

「(B)さつまいも150g」の方が混ぜた時に「プチプチ、シュワシュワー」と音がよく聞こえる。

「(B)さつまいも150g」の方が特別甘い、酸味が強いという感じはなかった。「(A)さつまいも50g」と比べると相対的に味を強く感じたという程度。

「(A)さつまいも50g」の方がさわやかに感じた。

※ミキサーにかけて冷蔵庫に入れた。

約68時間(2日と約20時間)後の様子

⑥7/21(木)8時頃

ミキサーにかけたことでサラサラと飲みやすくなった。

冷蔵庫で冷やしたことで味がハッキリと感じられるようになった。

両方とも「シュワー」と炭酸なようなものを感じた。

「(A)さつまいも50g」の方がさわやかに感じた。「(B)さつまいも150g」と比べても味が薄いとは感じなかった。

「(B)さつまいも150g」の方が全体的な味を強く感じた。

約261時間(10日と約21時間)後の様子

⑦7/29(金)9時頃

「(A)さつまいも50g」は後味がさっぱりしていた。

「(B)さつまいも150g」は「(A)さつまいも50g」と比べると、炭酸と酸味をよりはっきりと感じた。

まとめ

さつまいもの量を多く入れた方が発酵が早く進むということはないことがわかった(さつまいもを多く入れれば通常1日かかる発酵が半日で済むというようなことは起きない)。

全体的な味、酸味、炭酸感などはさつまいもの量を多く入れた方がよりはっきりと感じられた。

甘さに関してはさつまいもの量を多く入れた方が甘さが強く出ると予想していたが、そこまで違いは感じられなかった。甘さに関してはお米の量に関係してくるのではではないだろうかと思った。

【個人的な感想】

「(A)さつまいも50g」はさわやかな味。さっぱりと飲みたい方にオススメ。

「(B)さつまいも150g」は全体的な味、酸味、炭酸感などをよりはっきりと感じたい(強く出したい)方にオススメ。

タイトルとURLをコピーしました